漢字とカナの使い分けで単語の切れ目を見せる

漢字とカナ文字の適切な使い分けは、単語の切れ目を見やすくする意味でも重要です。

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前の記事に書いたように、漢字とひらがなは一定のルールに沿って使い分けられます。すなわち、形式名詞・副詞・接続詞・連体詞・助詞・助動詞などはひらがなで、動詞の語幹や一般名詞は感じで書くのが標準的です。しかし、このルールだけで全ての問題に対処できるわけではありません。わかりやすい文章を仕上げるためには、他にも幾つかの要素を勘案する必要があります。その一つが「単語の切れ目」です。

まずは、次の文を見てみましょう。

  • 給料が良い反面教師の仕事は大変だ。
  • 雇用の流動化はつまりきわめて少数の実業家たちだけに甘い汁を吸わせるのだ。

あえて読点などを一切使わずに書いてみました。読みにくいと感じられたことと思います。その理由ははっきりしています。第一の例文では「反面」・「教師」と並ぶ単語の境界が見辛く、第二の例文では「とは」・「つまり」・「きわめて」と並ぶ単語の境界が見辛いのです。普通に書いてみると次のようになるでしょう。

  • 給料が良い反面、教師の仕事は大変だ。
  • 雇用の流動化は、つまり、きわめて少数の実業家たちだけに甘い汁を吸わせるのだ。

このように、読点の助けを借りれば単語の切れ目を明確化することが可能ではあります。しかし、文中に読点を安易に多用し続けると、もっと本来的な用途(これについては別記事で述べました)で使われている重要な読点が相対的に目立たなくなってしまうのです。2番めの例文では「つまり」がやたら目立つ格好になります。この文で大見得を切りたいという計算づくでのテンであればそれも一つの在り方でしょうが、私には不必要に飛ばし過ぎに思えます。そこで、次のように書き換えてみましょう。

  • 雇用の流動化はつまり極めて少数の実業家たちだけに甘い汁を吸わせるのだ。

「きわめて」を「極めて」と漢字かな混じりにして、直後の読点を取りました。それだけのことで、かなり読みやすくなったはずです。

このように単語の切れ目と文字種の変わり目(「かな→漢字」あるいは「漢字→かな」)を一致させると「分かち書き」に近い効果が得られ、文意の解釈がとても楽になります。一方、ひらがなのみで書かれる単語がいくつも連続していたり、漢字で書かれる単語がいくつも連続していたりすると、文章はとても読みにくくなります。

そのような場合は、原則を破ってでも漢字・かなを書き分けるとか、語順を変えて問題の単語の連続を解消するとか、何らかの対策を考えましょう。

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