テンの打ち方(1)

法則に基づいて正しくテン(読点)を使用すれば文章は格段に読みやすくなります。読点を適当なところに打ってはいけません。

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誤解されにくく解りやすい文章を書くには、読点(テン)の打ち方にも気を遣わねばなりません。

世にたくさん出ている文章読本の中で、この問題に関して最も説得力ある主張を展開しているのは『日本語の作文技術』(本多勝一著)でしょう。

本多勝一の主張

本多勝一は、たくさんの例文を収集し、テンの打ち方を変えることで読者の解釈がどのように変化しうるかを事細かに考察しています。それに基づき、テンを打つ べき箇所は次の3種類に絞られると結論しています。また、これらに該当しない場所にテンを打ってはならないとしています。

  • 第1原則: 長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界にテンを打つ。
  • 第2原則: 原則的語順が逆順の場合にテンを打つ。
  • 自由なテン: 思想の最小単位を示すためにテンを打つ。

第1原則だけでもチェックしよう

第2原則と「自由なテン」を理解するにはいささか深い考察が必要です。第1原則はそれらよりも重要とされ、かつ、論理的に明快です。最低でも第1原則についてはきちんと理解し、実践に活かすべきでしょう。

『日本語の作文技術』に例示されているのは次の文です。

  • テンの位置に問題がある原文: 戦前からの業界の流れを知る幹部も、若手も今年の漁獲やかつての北洋について聞くと、後ろめたそうな顔になった。
  • テンを適切に打ちなおした文: 戦前からの業界の流れを知る幹部も、若手も、今年の漁獲やかつての北洋について聞くと後ろめたそうな顔になった。

この文では、「後ろめたそうな顔になった」を修飾する節として、「戦前からの...」・「若手も」・「今年の...」の3つが並列しています。原文では「若手も後ろ めたそうな顔になった」というのが読み取れなくなってしまいます。不十分な検討のもとで適当な位置にテンを打ってしまうことが如何にマズイかが解るでしょう。

一方で、「幹部も、」とテンを打ったのは適切な判断でした。これが無いと、「若手」も「戦前からの業界の流れを知っている」と、文の意味が変わってしまいます。

このようにテンの打ち方をいろいろ変えて比較してみると、第1原則に従った修正によって文章のわかりやすさが大幅に向上しうることが分かります。

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