実践的な文章作法入門書を紹介する:『日本語作文術 伝わる文章を書くために』(野内良三著)

良質な作文を実現するには、日本語の特性を理解することが大切。今回紹介する書籍は、そこをわかりやすく解説し、さらに具体的な作文術を提案してくれています。

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実践的・技術的・独創的な作文指南書

このブログを書くにあたって、私はいろいろな文献を集め、自分なりに消化したものを少しづつ記事にしています。

そうした文献の中でも特に高頻度で参考にさせていただいているものの一つが『日本語作文術 伝わる文章を書くために 』(野内良三著)です。著者によれば実用文を書くための技術的・実用的な入門書を目指したとのこと。その宣言に違わず、文法にしろ言葉の選択にしろ非常に実践的かつ解りやすく説明されています。

著者の野内氏は、もともとはフランス語の専門家。アルセーヌ・ルパンの小説の翻訳なども手掛け、それを通じて日本語作文に対する問題意識を深めていったという人です。そのため、日本語オンリーで来た人ではなかなかできない発想が本書には反映されています。

また、他の多くの類書で推奨されている事柄であっても、著者の目線で実用的でないと判断されたものに対しては遠慮なく異議が述べられています(「噴飯モノだ」と切って捨てられている事柄もあります)。

本書がどのような点でユニークなのか、次の節で簡単にまとめてみます。

ユニークな視点から作文をとらえる

本書の前置きでは、次のような観点が明示されています。

  • 型の重視
  • 日本語を「外国語のように」学ぶ

「型」に着目した作文術については他にもいろいろな論者が述べてはいます。しかし、「型」をここまで重視し、それを基調とした主張・提案が全体を通して展開している書籍は、私が知る限り他に見当たりません。

専門家の視点から、英語と日本語の文章構造が本質的にどう異なるのかを分かりやすく説明してくれているのもありがたいことです。ずっと日本語オンリーで来た人にはこういう論理展開はなかなか難しいでしょう。一方、外国語に詳しすぎる専門家の中には、過度に英語を持ち上げ日本語の「非論理性」を嘆いて終わりというレベルの低い言説に満足してしまっている人もいるようです。

そこへ行くと、野内氏は、それぞれの長所・短所を公平・明快・論理的に述べ、さらに、作文において具体的にどうすれば日本語の長所を生かして短所を克服できるのかを詳しく提案してくれています。

本ブログでもこれまで何度か取り上げた

同書からネタをいただいて私なりの見解をまとめた記事を当ブログではいくつか公開しています。ご笑覧いただければ幸いです。

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