涼宮ハルヒシリーズの比喩表現は秀逸

涼宮ハルヒシリーズは非常に有名なライトノベル。よい文章のお手本として要注目です。

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『涼宮ハルヒの憂鬱』から始まる本シリーズはラノベの中でも最も有名な作品の一つといってよいでしょう。舞台設定・人物設定の巧みさは特質に値します。しかし、作文にフォーカスする当サイトとしては、この作品群に見られる文章の上手さ、とくに比喩表現の上手さに注目してみたいと思います。

本シリーズの主人公は、「キョン」というあだ名を持つ男子高校生。物語は彼の視点で語られます。彼は、教室ですぐ後ろの席に座る女子「涼宮ハルヒ」の巻き起こす様々な騒動に振り回されることになります。

ハルヒの性格は天真爛漫・唯我独尊、行動は常に猪突猛進。キョンはハルヒの行動を例えば次のように描写します。

  • 「扉を閉めるなり鞄を投げ出したハルヒは、オリオンの三連星のような輝きを瞳に浮かべながら俺たちを睥睨した。」『涼宮ハルヒの消失』
  • 「そう叫んでいるハルヒは、真夏に氷塊をプレゼントされた動物園のシロクマのように他の物など目に入らないようだった。」『涼宮ハルヒの溜息』
  • 水辺で水を飲む子鹿に近づくアリゲーターの動きでハルヒは朝比奈さんの背後に回ると」『涼宮ハルヒの退屈』
  • 「どう考えても掃除の最中に余計なことを思いついたとしか想像できない、真夏のヒマワリも横を向きそうな明度と熱量を持つ笑みだった。」『涼宮ハルヒの驚愕』
  • 「中身が抜けて薄っぺらくなった緑色の化けガエルを小脇に抱え、一気に十万石くらいを加増された成り上がり武将みたいな顔をしている。」『涼宮ハルヒの暴走』

一連の語り口で、キョンはハルヒにすっかり呆れながらも全否定しているわけではなく、どこか憎からず思っているらしいことがわかります。物語が進むにつれ、最初は彼女に無理やり引きずられているだけだった彼が、周囲の風変わりな仲間たちと友情をはぐくみ、問題解決のために主体的に行動するようになっていきます。その根底にあるキョンのハルヒへの感情の動きが、読者によく伝わってきます。

このような比喩表現(直喩)はカチッとハマると非常に効果的です。しかし、的を外してしまった比喩表現ほど痛々しい物もなく、使い方にはそれなりの注意が要ります。どうやって比喩力を磨けばいいのか? 後日考察してみたいと思います。

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