「は」と「が」をどう使い分けるか

「は」と「が」はいずれも主語を導く助詞ですが、その用法には重要な違いがあります。われわれ日本人は「は」と「が」をなんとなく使い分けていますが、実はけっこう奥の深いルールが存在するのです。

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こんな使い分けを我々は普通にこなしているが......

たとえば、デートで喫茶店に入り、二人でそれぞれ店員さんに飲み物を注文するとします。

  • 「僕は、コーヒー。」
  • 「私は、紅茶。」

これを「僕が、コーヒー」とはまず言いません。

しばらくして、別の店員さんがコーヒーと紅茶を持ってきました。しかし、あなたと連れのどちらがコーヒーを所望しているのかを把握していません。

  • 「コーヒーのお客様は?」
  • 「僕がコーヒー。」

ここでは「僕コーヒー」が全く不自然ではありません。この違いは何なのでしょう。

識者はこう述べている

このように、「は」と「が」の使い分け方はよく考えると結構難しいのです。昔からいろいろな人がこのことについて議論してきました。以下に、3冊の文献から関連記述を抜粋してみます。

  • 『仕事文の書き方』(高橋昭男著)
    • 「~は」は主語ではなく主題を表している。
  • 『「頭がいい人」と言われる文章の書き方』 (小泉十三著)
    • 「は」は誰もが知っている古い情報を伝え、「が」は相手にとって新しい情報を伝える。
  • 『日本語作文術 伝わる文章を書くために』野内良三著)
    • 「は」...幾つかの対象物の中から一つを取り立てて他と区別(対比)する。重要な情報は「は」の後にある。
    • 「が」...幾つかの対象物の中から一つだけを取り出して他を排除(無視)する。重要な情報は「が」の前にある。

基本ルールはシンプル

他にもいろいろな人が細かいことを言っているのですが、その紹介は次の機会としましょう。上記の中に「僕がコーヒー」と「僕はコーヒー」がどう使い分けられるかの答えがすでに出てきているからです。3人の論者は少しづつ目線が違えど同じことを述べています。

「は」と「が」の用法の違いは次のようにまとめられます。

  • 助詞の「は」が出てきたら、その後の部分(述語)が一番言いたいこと。
  • 助詞の「が」がでてきたら、その前の部分(主語)が一番言いたいこと。

前述の例について改めて考えてみましょう。「僕はコーヒー」は、飲みたいものが「コーヒー」であることが最も重要な情報です。しかし、次の「僕がコーヒー」では、コーヒーを飲みたいのが「僕」であることが最も重要で、コーヒーが注文されているということは重要ではありません(すでに古い情報です)。これが、二番目の受け答えでのみ「が」が自然であったことの理由です。

普段はこういう事をあまり考えなくても何とかなりますが、長文をわかりやすく書こうとするとき、こういう法則を理解しておくことは非常に重要です。

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