語順も大事:密接な関係にある単語はできるだけ「くっつけて」書こう
主語と述語、形容詞と名詞、副詞と動詞。文の中にはこういった「対」になる言葉があります。文の中でできるだけこれらを接近させて書くようにしましょう。格段に分かりやすい文になります。
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ソフトも混乱する「係り受け」
前回の記事で、推敲ツールtomarigiが「係り受け」の解析機能を持つことを紹介しました。そして、当ブログの過去記事を例題として解析結果の例を示しました。再掲することにしましょう。
ところが、この例をよく見ると実は解釈が間違っていることに気づきます。
tomarigiは、先頭の文節「あなたが」が4つ先の文節「つもりで」に掛かっていると解釈しています。しかし、正しくは6番目の文節「送った」に掛かっているのです。訂正箇所を図示すると下のようになります。
なぜこうなってしまったのでしょうか。
「ソフトは完璧ではない」・「所詮パソコンは人間のようにはいかない」などと総括するのは簡単です。しかし、ライターとして上を目指したいなら、そんな安易な思考形態に満足すべきではありません。
「紛らわしい文章を書いた自分に問題があった」と反省すべきなのです。
問題は何か?
このような混乱が生じた原因はいくつか挙げられるでしょうが、最終的にはひとつに集約できるでしょう。
係り受けを構成する文節同士が離れすぎているため、文章をスムーズに解釈できないのです。
形容詞と名詞、主語と述語、目的語と述語......。こうした文節同士は文の中でも特に密接に結びついています。その「結びつき」を読者がすぐに把握できることが望ましいわけです。修飾先がはるか遠くにあってすぐに見つけられない修飾語とは、読者からすれば「意味不明瞭な単語」となります。そういった文節があちこちに転がっているようでは、文章の意味や文脈を把握するのが非常に面倒になってしまいます。
係り受けのペアとなる文節同士を「くっつける」には?
では、どうすれば「離れすぎ」を解消できるのか? 少なくとも次のような選択肢が考えられます。
- 文を分割する
- 長い節を先に書く
- テンを適切に打つ
推敲・修正の実際
前述のポイントを踏まえ、例文を修正してみましょう。
修正後の文を最初に示します。
「信頼できる友人だけにこっそりと」のつもりであなたはAさんにメールを送る。ところが、Aさんは「信頼できる友人だけにこっそりと」のつもりでそのメールをBさんに送る。
このように書けば、ずっと読み取りは楽になるでしょう。
ここでは次のような変更を試みています。
- 最初の「メールを送る」の後ろにマルを置いて文を切り、前半を独立させる。
- 前半の文の「あなたは」を後ろに移動し「送る」に近づける。
- 後半の文の「メールを」を後ろに移動し「送る」に近づける。
後半の文では、「Aさんは」を後ろに移動させて「送る」の直前におく手も考えられます。しかしここでは「Aさんが送る」ことよりも「メールが送られる」ことの方が重要だと考え、このような語順としました。
こうした推敲作業では、機械的・事務的な書き換えだけで満足してはいけません。文のつながりなど不自然になっていないか、併せて検討します。ここでは、後半の文の先頭に接続詞「ところが」を補い、「は」・「が」の使い分け方も見直しています。
まとめ
語順は文章の読みやすさを左右する重要な要素の一つです。適切な語順で文章を書くためには、どの文節がどの文節と係り受けの関係にあるのかを適切に把握しておく必要があります。語順のわかりやすさ(誤解されにくさ)を客観的に評価する手段として、tomarigiなどのアプリを使うことは有効です。
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