上手な比喩とは

上手な比喩はわかりにくい事柄を理解してもらうために大変有効です。ですが、空回りの比喩はむしろ逆効果で読者に混乱をもたらしてしまいます。的を射た比喩を使いこなすにはどうすればよいのかを考えてみました。

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比喩をうまく使うコツとして私は以下を挙げたいと思います。

  • 読者にとって馴染み深い(解りやすい・想像しやすい)ものを喩えに使うこと
  • 比喩の対象とは普通に考えれば関係がなさそうなものを喩えに使うこと
  • 一度で分かってもらえなかった比喩は即座に捨てる

何に喩えるか?

比喩以前の話として、文章を誰に読んでもらうのかを明確にしておくことが必須です。まだ検討してないなら、まずはターゲットにする読者像を明確化しましょう。そのうえで、そのターゲット読者にとって馴染み深そうなものを使った比喩を試みるのです。

読者がスポーツに馴染みが深そうだと分かっていれば、野球のルールやらサッカーのポジションやらバットやグローブやスキー板の形状やらを喩えに使えないか考えてみます。しかし、競技ルールは知らない人は全く知りませんから、読者の嗜好に確信が持てない場合は「チームでの成果を出すにはキャッチャー役の人間が重要なんだよ」などとやっても「は?」という反応にしかならないでしょう。

読者が車好きと分かっていれば、交通法規やブレーキやアクセルやハンドルの機能や自動車の形状などを喩えに使えないか考えてみます。しかし相手が未成年だったり年配の女性だったりした場合は、高い確率で通じないでしょう。

普通に考えれば関係がなさそうなもの

意外性のある比喩は読者に強いインパクトをもたらします。

たとえば、音楽の話の中でいきなり野球の話が出てきたりしたら、びっくりされるかもしれません。しかし、合奏に必要な役割分担や意思統一のプロセスには、野球におけるそれと共通のものもあるでしょう。あまり芸術に造詣の深くなさそうなおじさんにオーケストラの説明をしたいとき、プレーヤー間の意思疎通をピッチャーとキャッチャー間のそれに喩えるという方法が考えられます。

普通は思いつかないが言われてみれば確かにふたつのものの性質に「共通するものがある」時、一方を他方に喩えることが良い表現方法になり得ます。

一見関係なさそうな異質なもの同士を組み合わせ、面白い比喩表現ができないかぜひ考えてみましょう。

分かってもらえなかった比喩は即座に捨てる

上記のような思惑で比喩を使ってみたはいいが、どうも良い感触が得られないということはあり得ます。

あなたが感じた「共通性」に相手が同意してくれるとは限りません。また、おじさんが必ずしも野球に馴染み親しんでいるとも限らないのです。さらに、狙いは悪くなかったのに、残念ながら文章が稚拙すぎて意図したとおりに読み取ってもらえなかったという事態もあり得ます。

こういう時に、あわてて比喩の意図についての補足説明を始める人がいます。これは大悪手です。これを始めると話はどんどん主題から逸れていってしまいます。何を説明すべきだったのか訳がわからなくなってしまいます。

通じなかった説明は無かったコトにしましょう。直ちにその決断を下すべきです。きっぱり諦めて他の説明方法を考えましょう。

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