言葉を徹底的に省く

よく考えてみるとあまり意味がないのに、つい入れたくなってしまう単語やフレーズがあります。文の趣旨をよく考えた上で、必要性のない単語は徹底的に削ってください。

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文体や単語の選び方には著者それぞれの癖が出るもので、気がつけば同じ言葉をいつも繰り返しているということになりがちです。そのようにして多用されている単語の中には、実のところ省いても何ら差し支えのないものが少なからず含まれているものです。

たとえば、以下の語句が出てきたら、よく文を見返してみましょう。

  • 「ことで」
  • 「なぜなら」
  • 「という」
  • 「そして」
  • 「よって」
  • 「そのため」
  • 「そこで」
  • 「また」

たとえば、次の文はどうでしょうか。

  • 勉強するということは充実した人生を送るために不可欠である。
  • 今時の就職活動は大変である。そして、内定を結局もらうことが出来ない学生も多い。
  • 私が大学生の頃は就職氷河期の真っ只中であった。そのため、多くの人が就職浪人を余儀なくされた。

これらの文は、冗長語を排除して次のように簡素化出来ます。

  • 勉強は充実した人生を送るために不可欠である。
  • 今時の就職活動は大変である。内定を結局もらえない学生も多い。
  • 私が大学生の頃は就職氷河期の真っ只中であった。多くの人が就職浪人を余儀なくされた。

ただし、これは原則に単純に従っただけ。ここで挙げた「冗長語」が全て何時も不要というわけではありません。

たとえば2番めの例文をもう一度見てみましょう。

  • 今時の就職活動は大変である。そして、内定を結局もらうことが出来ない学生も多い。

筆者が本当に言いたかったことが「内定をもらえない学生が多い」に尽きるなら、上で示したように「そして」は削除した方がいいでしょう。しかし、作者が本当に強調したかったのが「就職活動が大変になっていることが内定が取れないことの原因だ」という因果関係であったとしたらどうでしょうか。ここはあえて「そして」を入れて、両事象の間に因果関係が認められるとの主張を明確にすべきです。

「冗長な言葉」は著者が本当に強調したい部分に限って使うのがコツだといえます。それによって文章にメリハリが付き、論旨がより明快になるのです。

このように、冗長な言葉を省く作業は「自分が本当に言いたいことは何か」を問いなおすことにも繋がります。もちろん、第一の目的は外見を整えて視覚に優しい文章を仕上げることです。しかし、その作業を完遂しようとすると著者はその文で何を言いたいのか明確にすることを迫られます。それができていてこそ、一つ一つの単語についての「余計か、必要か」の判断が初めて可能になるのです。

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