一文は60文字以下にせよ

長い文が続く文章は読みにくいです。一文の長さは60文字以内に収めることを目標にしましょう。

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文の長さには適量がある

文の長さは、テンの打ち方と並んで、筆者の個性が最も明確に現れる要素の一つと言ってよいでしょう。それだけに、文章作法について論じた書籍でも様々な形で言及されています。

『理系のレトリック入門』(牧野賢治著)によれば、新聞社ではその昔一文が4行を超えないように書けと指導されたとか。昔の新聞は一行が15文字でした。よって60文字という目安が導き出されます。ただし、ジャンルによって文の長さは大きく変わるとも指摘されています。

『説得の文章術』(安本美典著)はもっと厳しい条件を掲げています。いわく、「 一文の長さは40-50文字。特に書き出しの文は意識して短くせよ。」

『その文章、キケンです』(小田順子著)では、「一文を39字以内に。どうしても無理な場合でも65文字を超えないように」としています。

『「売る」文章』(有田憲史著)は、いわゆるキャッチコピーを作るコツに重点をおいた作文指南書です。これには「文の長さは20~40文字。ただし40文字程度の文をさらに短くしようとする必要はない」とあります。

かといって、短い文ばかりが続くと文章にメリハリがなくなり、かえって内容の把握が難しくなることもあります。『「売る」文章』でも、短い文ばかりが連続することは文章を単調にし読者を退屈させると指摘しています。さらに、文の長さにも変化をつけて文章にリズムを与えることも必要としています。

もし短い文が続くパターンで「わかりにくい」と感じられるとすれば、これは一つの文にまとめるべき「一つの事柄」を過度に分割しすぎているのかもしれません。

長さよりも大切なことがある?

文の長さを○文字以内にするかなどと決めつけることに否定的な見解もあります。そのような主張をする人は、文字数などの物理的な性質ではなく内容を重視すべきだと訴えます。最重要事項は「一つの事柄が一つの文に対応するように」書くようにすること。その条件を満たすならば結果として一文が100文字になろうが構わないという考え方です。これはこれで検討に値するとは思います。しかし、内容の軽重やそれに応じた文章量のバランスを検討する際に、文の文字数が一つの有力なチェックポイントであることも間違いないと思います。

そもそも、100文字費やさなければ書ききれない「一つの事柄」とはどういうものでしょうか。大抵はもう少し細かい「事柄」に分解可能なのではないでしょうか。

自分の書いた文章が他人にとってどれだけ解りやすいものなのか? 慣れないうちはなかなか判断が難しいものです。文字数が本質的な要素ではないという主張にも一理あることは確かですが、まずは形式を整えてみることどれだけ「わかりやすさ」が変化するかを見てみることは、作文のセンスを磨く上で有効だと思います。

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